細胞内マクロ構造体

細胞の中には、ミトコンドリアやリボソームのように名前のついたオルガネラ (細胞内小器官) がたくさんあります。一方で名前のついていなかったり、役割がはっきりわからない新しい構造体も多く観察されます。私たちは若年性遺伝子の1つでてんかん性脳症と関連のある「TBC1D24」と呼ばれる分子を観察していたところ、TBC1D24

Ring-like macrostructure in cellsがユニークなリング状の構造を細胞内でとることを発見しました (右写真の矢頭)。これは、顕微鏡で見なくてはわからないほど小さいものではあるものの、細胞の中ではかなりの大きさをもつものでもあり、「細胞内マクロ構造体」と捉えることができます。

この「リング構造」はTBC1D24分子が多数、連結してできていると考えられます。TBC1D24はGTP加水分解酵素としての機能が知られており、細胞骨格を再編成することで細胞の遊走や変形、小胞の輸送などに作用すると考えられます。このリング構造はそれらの酵素のはたらきと密接に関連すると思われますが、まだ実体は十分にわかっていません。特にTBC1D24の遺伝子変異は、小児難病の1つ、てんかん性脳症の原因となることがわかっています。病気の理解や治療の観点からもTBC1D24のマクロ構造体の機能実態を明らかにすることが重要であると考えています。

本研究につきましてこれまでに報告した論文はこちらです。

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